まるきんの畑から:2025年7月号

いつの間にか梅雨らしい時期がなくなって、真夏のような暑さが続いていますね。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

暑い日々が続いていますが、適度に雨が降ってくれたおかげて柿は順調に大きくなっています。
心配していた生理落下(まるきんの畑から:2025年6月号の「6月の独り言」を参照)もかなり少なく、
たくさんの柿と共に夏を迎えられそうです。

7月の作業

摘果(てっか)

果実を間引く作業、摘果(てっか)を始めました。
5、6月の摘蕾・摘花(てきらい・てっか)では蕾や花(果実のもと)を間引きましたが、
摘果(てっか)ではさらに果実を間引いていきます。

果実が大きくなると悪い形(いびつなものや、奇形など)や傷のある果実が見分けやすくなります。
また、「日焼け」の果実もわかりやすくなります。
「日焼け」とは、日が当たり続けた部分が変色して固くなってしまう障害です。
ずっと日が当たり続けるような場所についている果実に発生します。
こうした果実を優先して間引いていきます。

今年は例年よりも柿が多く実っているので、摘果も大変です。
ですが、摘果が大変になるくらい実っている年もなかなかないので、ありがたいですね。

防除

気温と湿度どちらも高くなってきたので、害虫・病気どちらも警戒中です。
(害虫は気温が高いと活発に、病気は湿度が高いと発生しやすくなります)

今の柿畑の様子

柿の重みで枝が垂れ下がってきたのがわかるでしょうか?
草もかなり伸びてきたのでそろそろ刈りどきです。

7月の独り言:柿の栽培は欲に負けるな!

今月は摘果についての話題です。

摘果は果実を間引く作業なのですが、
「せっかくたくさん実っているのに間引いてしまうなんてもったいない!」
って思いませんか?

私もよくそう思います。
生理落下で落ちなかったのなら、そのままたくさん実らせておきたいです。
ですが、そこは欲をこらえて間引かなくてはいけない大切な理由があるんですよ。

摘果を行う目的は主に以下の3つです。

  1. 間引いて、残った果実にしっかりと養分を行き渡らせるため
  2. 形が悪い柿や「日焼け」した柿を間引くため
  3. 翌年もしっかり柿が実るようにするため

この中で一番重要なのは、
「3. 翌年もしっかりと柿が実るようにするため」なんです。

なんと、摘果をちゃんとやらないと、翌年の柿の実りが減ってしまうんです。

「なぜ翌年の実りが今、関係あるの??」って思いますね。
それは柿の生育の仕方に理由があるんです。

7〜8月頃は、「花芽分化(はなめぶんか)」といって、
翌年に咲く花の元(花芽)が作られる時期です。
この時期に柿が実りすぎていると、果実に栄養を取られてしまい、
翌年に咲く花の元(花芽)が作られなくなってしまいます。
すると、翌年は花(果実のもと)が少なくなり、とれる柿の数が減ってしまいます。

欲張ってたくさん実らせると、その次の年には実りが少なくなるんですね。

翌年もちゃんと花が咲く(実がつく)ようにするためには、
摘果で果実を適正な数まで間引いてあげる必要があります。
(「適正な数」というのがこれまた難しいのですが、その話はまたの機会に)
毎年たくさん実らせて大豊作、なんていううまい話はないんですね。

どこまで欲を抑えて摘果をできるか…なんだかストイックです。
柿の栽培は時々、修行みたいな一面があるような気がします。
来年の実りのためにも、欲に負けずに摘果をがんばります。

投稿者プロフィール

Kunitaka Ota
Kunitaka Ota
就農4年目の見習いです。
柿ができるまでの過程、自然の移ろい、柿作りへの思いなどをお届けできればと思います。ブログを通じて柿や丸金青果をもっと身近に感じてもらえれば嬉しいです。

柿の栽培以外にも、農機具の整備修理、土木工事、ITエンジニア(?)をやったりします。「丸金の何でも屋」になることを目指して頑張ってます。